過保護・過干渉の違いと誤解-3つのポイントで解説-

しばしば並んで目にする

過保護と過干渉。

 

私はあまり好きではない言葉ですが

「毒親」という言葉と一緒に

目にすると、

 

過保護・過干渉の両方が悪いもので

改めなければならないものだと

思い込んではいませんか?

 

 

決して、そうではありません。

 

 

過保護は、子どもの望みに

応えすぎること。

 

過干渉は、子どもが望まないことを

押し付けること。

 

 

二つの明確な違いは、

 

子どもが望んでいるかどうか。

 

 

 

そして、過保護は子どもに

人への信頼感と自立心を育むと

言われています。

 

 

けれど、ここを正反対に捉えてしまう人が

少なくありません。

 

 

特に、子どもが不登校になるとか

何らかの「問題行動」と呼ばれる現象が

起きた時に

 

子どもに共感する、寄り添うが大切。

 

 

そうした情報に出会い

この葛藤を抱く、という人を

たくさん見てきました。

 

 

つまり

 

子どもの望みに応える

甘やかす

子どもをダメにする

 

という捉え方です。

 

 

あるいは

 

子どもの気持ちに寄り添ったり

子どもの望みを叶えることを

 

(子どもを)思い上がらせるのでは?

 

と、心配する場合もあります。

 

 

「望み」というのは、常に

 

物理的なもの

心理的なもの

 

両方の意味があります。

 

 

 

私たちは、

できるなら子どもを過保護に

育てられた方がいいのです。

 

 

できるなら…

 

 

です。

 

 

つまり、本来の過保護というのは

理想的だけれど

実現は難しいものです。

 

 

 

私も、もっとこうしてあげられたらと

後悔までしていませんが

 

親としての自分の不十分さを

感じることはあります(苦笑)。

 

 

では…

 

 

過保護が過保護の域を超えて

過干渉に発展していくのは

どういったところからなのか?

 

 

3つのポイントからお伝えしていきます。

 

 

①子どもの年齢や発達に見合っているか

②タイミング良く応えているか

③バウンダリーを侵害していないか

 

 

一つ、一つ、見ていきましょう。

 

 

①子どもの年齢や発達に見合っているか

 

乳幼児期、学齢期、思春期、青年期…と

ありますね。

 

はじめの3つくらいまででも

かなり違ってきますね。

 

乳幼児期であれば

子どものニーズにはどれだけたくさん

応えてあげてもいいと思います。

 

 

抱っこして

食べさせて

遊んでほしい

絵本を読んでほしい

公園に連れて行ってほしい

〇〇ちゃんと遊びたい

 

 

子どもって疲れ知らずで

ものすごいエネルギーですよね。

 

絵本なんて

同じものを、何回、何十回とか…。

 

 

もちろん、全部に応えるというのは

理想的かもしれませんが、

とっても大変なことです。

 

…というか、無理です。

 

 

それで、ここがとても重要な

ところなのですが、

 

いっぱい応えてやりたい。

でも、無理!

 

それでいいのです。

 

 

 

乳幼児期というのは

親御さんの中でも

しっかり甘えさせてあげる。

 

それを大切にしていいと思う方が

少なくないようです。

 

それが、学齢期に入ると

徐々に変化していくのでは

ないでしょうか。

 

 

学齢期でも初期、中期、後期に分けたら

少しずつ違ってきて当然です。

 

小学1年生は、宿題や明日の時間割を

一人でやり遂げるのは難しいです。

 

 

声をかけてもらい

鉛筆とノートを用意してもらい

励ましてもらいながらやる。

 

 

それでいい。

 

 

これを、私は過干渉だろうか?と

心配する必要はありません。

 

 

小学校高学年くらいになると

子どもだけで電車に乗って出掛けて

みたい、ということも出てきます。

 

 

こうなると、少し、親の意見が別れて

くるのではないでしょうか?

 

 

あるコミュニティでは、

子ども達が集団で外で遊ぶような時

その中の親御さんが一人

付き添ってくれることがあります。

 

 

こういう時はやっぱり

一人の親としては安心ですし

交代することがあってもいいのです。

 

 

少し話が飛びますが、海外には

13歳未満の子どもが保護者の同伴なしで

外出したり、

 

一定年齢の子どもが一人で留守番をする。

 

 

こうしたことを法律で禁止している

国もありますね。

 

 

育児放棄と見なされます。

 

 

日本はそうした法律はありませんが、

(つい最近、同じような動きが日本でもあり

ものすごい住民の反対がありました。)

 

色んな事件やニュースを耳にすれば

親は多少なりとも心配になるのでは

ないでしょうか?

 

 

同じ日本であっても

暮らしている環境や地域性によっても

違いはあるのだろうと思います。

 

 

過干渉になるのは、子どもの年齢や発達

暮らす環境や文化によっても変わる。

 

当たり前のことかもしれませんが、

子どもが育つ土台としてある視点だと

思います。

 

 

②タイミングよく応えているか

 

子どものニーズに応えるタイミングは

子どもが小さければ小さい程

大事です。

 

今、お腹空いた!

今、眠たい!

今、痛い!

 

…その時に応えてもらいたい。

 

 

1歳の子がお腹空いて、眠たくて、

じゃあ、明日そうしようね、となると

どうでしょう(笑)。

 

 

このタイミングって、愛着形成にも

とっても大事なものなんです。

 

 

欲しくないモノをいくら与えられても

 

 

求めていない時に、いくらなぐさめてもらったり

励ましてもらっても、

 

 

違う!!ってなりますよね。

 

 

お腹いっぱいの時に

豪華なケーキをドン!と置かれても

嬉しくないと思うのです。

 

 

食べたい人もいるかもですが(笑)。

 

 

あるいは

 

学校へ行き始めて

子どもが特別に悩みもなく

順調に過ごしている時にしつこく質問しても、

 

子どもからすれば鬱陶しいのは

当たり前ですし、

 

1年生でも

「何回も聞かないで」って言います。

 

 

逆に、何かつまづいている時には

声をかけてもらって

 

今の気持ちや考えを

子どものペースで吐き出したり

大人からリフレクションしてもらったり

 

そんな時間とスペースが欲しいこともあります。

 

 

あるいは、子どもが一生懸命、

今日学校でこんな嫌なことがあってね!と

プンプン怒りながら帰ってきて、

 

大人が上の空の状態で反応できないとか

子どもに意識が向かない。

 

 

もちろん、私たち親は忙しいですから、

良いタイミングで応答できないことも

あって当然です。

 

 

けれど、

大人が情緒的にシャットダウンしている。

 

子どもに意識が向く余裕もない。

子どもの気持ちも捉えづらい。

 

子どものニーズに応えるのが

ただ苦しい、しんどい…

 

そうしたことが継続しているような場合は、

専門的なサポートも取り入れてみてください。

 

 

③バウンダリーを侵害していないか

 

過干渉は

子どもが望まないことを押し付けることで、

 

特に、子どもの価値観や意志、考えを無視して

大人のそれを押し付けるという点で、

 

つまり、子どもも一人の人で、

人としてのバウンダリーを侵害している

という点で問題になることが多いです。

 

 

例えば

 

したくない習い事や勉強、スポーツを無理強いする。

毎日、着る服を親が決める。

子どもの行動を、細部まで把握しないと気が済まない。

失敗させまいと、チャレンジさせない。

進路選択を代わりにやる。

 

 

挙げれば色々ありますね。

 

 

こうしたかかわりが継続していくと、

結果的に子どもが受け取るメッセージは

 

あなたは自分で考え、選択する力がない。

あなたの気持ちや意志は重要ではない。

 

そういったものに、なります。

 

 

でも、 過干渉になるのも、

色々な背景があると思います。

 

よくあるのは、

 

親御さんが正しいと思うことを子どもにもさせたい。

親御さんの幸せ基準が子どもの幸せ基準。

 

親御さんが黒い洋服がいいと思うから

子どももゼッタイに黒い服。

 

親御さんが公務員が一番幸せと思うから

子どももゼッタイに公務員。

 

 

あるいは、

 

親御さん自身がすごく不安やストレスを

抱えているという場合もあります。

 

親御さん自身が子どもの頃

いじめられたことがあるとか

 

友達関係でうまくいかなかったとか

ネガティブな経験があって、

 

子どもが同じくらいの年齢になると

すごく落ち着かなくなって

 

必要以上に口を出してしまうことも

あると思います。

 

 

この3つ目の「バウンダリー」については

下の動画でも解説しています。

 

 

 

夫婦やパートナーシップよりも

親子の結びつきが強調される日本で、

 

「バウンダリー」という概念は

 

そのことが子どもに様々な負の影響を与え

不登校や色んな問題につながる部分もあって、

 

それらを紐解いていくための

重要なキーワードでもあります。

 

 

 

 

ここまでをまとめますと

過保護と過干渉は

 

子どもが望んでいるかどうか

 

という点において別のもので、

 

過保護は人への信頼感と自立心を育む

ということ。

 

 

過干渉に発展していく3つのポイントは、

 

①子どもの年齢や発達に見合っているか

②タイミングよく応えているか

③バウンダリーを侵害していないか

 

でした。

 

 

どちらにしても、私たち親は

子どもの反応を見ながら、

 

同時に、私たち親の側の状態にも

気付きながら、

 

調整・修正していけばいいものだと思います。

 

 

その調整や修正ができない、

難しい場合には

 

ぜひ専門家の力も利用してみてください。

 

 

子育てが苦しい…

自分が親で申し訳ない…